やりすぎの温活にご用心

温めすぎが妊娠を遠ざけることがある

「体を温めた方がいい」
妊活中、誰もが一度は耳にする言葉ではないでしょうか。
ホットヨガ、よもぎ蒸し、サウナ、長風呂(お風呂で動画視聴)…。“温活”という言葉も、いまや当たり前になっていますよね。

でも、ちょっと待ってください!
やりすぎの温活が、かえって妊娠を遠ざけてしまう場合があるんです。

 

「とにかく温めればいい」は間違い
たしかに冷えは、体にとって良いものではありません。
ですが、「とにかく温めればいい」という考え方は、必ずしも正解ではないのです。

東洋医学では、人の身体を巡るエネルギーを「気」と呼びます。目には見えませんが、私たちの健康を左右しているものです。この気がスムーズに流れていれば、心も体も健やか。逆に、流れが滞ったり偏ったりすると、さまざまな不調を引き起こしてしまいます。

 

現代人に起こりやすい「気の偏り」
スマートフォン、パソコン、リモートワーク、今の生活は目や頭(脳)を酷使する場面が非常に多くなりました。東洋医学の視点で見ると、 使われる場所(=頭や目)に気が集まりやすい性質があるため、どうしても上半身に気が集まりやすく、下半身の気が不足しがちになります。

その結果、肩こり/頭痛/めまい/不眠/イライラ/顔や首のほてり/足のむくみ/下半身の冷え

  

など、さまざまな不調が現れ始めます。
あなたが感じている下半身の冷えは「気の不足」からくるのではなく、「気が上半身に偏っている」サインかもしれません

 

温めすぎるとどうなる?
この状態でさらにホットヨガやサウナに通ったら、どうなるでしょう?上半身に熱がこもり、ますます気のバランスは崩れてしまいます。子宮や卵巣といった妊娠に大切な臓器は下半身にあります。

そこに十分な気が巡らなければ、
・質の良い卵子が育たない
・排卵リズムが乱れる
・着床しても継続が難しくなる

といった、妊娠を望む方々にとってマイナスの影響が出てしまう可能性があります。

 

本当に大切なこと
卵胞が育つのは、基礎体温が低い低温期です。
わざわざ熱源を使って外から熱を加え、排卵までの体の自然なリズムを崩す必要はないと当院では考えます。

大切なのは気の偏りを取り除き、上下のバランスを整えること。

上に偏った気を下に降ろすには、
・ウォーキング
・スクワット

・かかと上げ、太もも上げ運動

など、鍼灸治療にプラスして、下半身をしっかり動かすことが効果的です。

そして外からの冷え(冷房や寒風)には、
・ひざ掛け
・レッグウォーマー
・くつ下

などで、防寒対策をお忘れなく。

終わりに
冷えを恐れるあまり熱で体を温めすぎることは、妊活では逆効果になることもあります。誰かにとって良いことが、あなたにも良いこととは限りません。
自然のリズムに寄り添い、身体の気のバランスを整えていくことが「授かり体質」への近道です。

焦らず、コツコツ。
あなたの身体に、本当に必要なケアをしていきましょう!